15.「I hope to・・・」
ヴァレッタの街に戻ろうと幹線道路との合流点まで、戻ると掘立小屋のようなところに5人ほど人がいる。ただここにはおなじみの青い色のバス停が立ってない。ジャックさんが「バスはここに来るのか?」と聞いてみると、返ってきた答えが

「I hope to・・・」

おいおい・・・。確信があって待ってるわけではなかったのだ。かくして来るか来ないかわからないバスを約10人もの人が待っているという事になってしまった。その光景が妙におかしくって、僕は一人でにやにやしていた。みんな全然深刻そうな顔してないんだもんな。

でもめったに車の通らない道に突然あらわれた一台のタクシーがこの不思議な関係をこわしてしまった。最初にここにいた人たちに向って、「バスは来ない」と言ってしきりに誘ってるようだ。結局最初にいた人たちは乗っていってしまい、僕達3人だけが取り残された。

「あと1時間ぐらい待ってこないようだったらブルーグロッタのバス停まで戻ればいいや。」なんて気楽に考えてたんだけど、なんのことは無い、それから5分ぐらいしたらおなじみの黄色いバスが現れた。僕達3人は首尾よくバスの人になったってわけさ。

バスの中のジャックさんたち
バスの運転手同士であいさつしてる
16.さらに一緒に・・・
ジャックさんとはヴァレッタに戻ったところで別れても良かった。二人はヴァレッタの街をまわりたがってたし、僕の方では最初はタルシーン神殿にでも行くかと思ってたんだ。でも一人旅なんていくらでもできるし、ジャックさんたちは感じが良かったんでせっかくだからとジャックさんに付き合うことにしたんだ。だいたい今回の旅にそもそも予定なんて無かったんだから。

近くのデリみたいなとこで、サンドイッチを仕入れ近くの公園で昼メシをぱくついた。三人で食ってる前を日本人の団体さんがぞろぞろ通り過ぎていってちょっと妙な気分だったぞ。

ジャックさんは街の右側はすでに見たので、今度は左側が見たいという。左側といって真っ先に思い浮かぶのは考古学博物館だ。今日はこの二人にとことん付き合う気でいたので、なんと本日2回目の博物館登場となったのだった。
劇場内の姿、右側のバルコニー席は首相のリザーブ席
いろんな街の風景を
女神像たち、下は「マルタのヴィーナス」という有名なもの
17.国立考古学博物館
さて、前にも言ったように、ここは考古学ファンなら必見の場所。というのもマルタの遺跡群からの出土品の主なものはほとんどここに収蔵されてるからなんだ。遺跡の仕組みや全体像、歴史などもあわせて詳しく紹介されてる。もちろん今行ってきたばかりのハガール・キムやムナイドラからのものもたくさんある。

女神像の展示品が多いんだよね。首がとれちゃってるのがおおいんだけど、これがまた見事なヴォリュームの女性像ばかりで昔の美人の基準ってこんな感じだったんだろうかと、興味深い。一番秀逸なのは、小さいけれどハイポジューム遺跡からの出土品、「眠れる女神象」かも。
18.マノエル劇場
ジャックさんやっぱりフランス人だなぁと思ったのは、マノエル劇場という歴史ある劇場を見たがったこと。

1731年
に建てられた歴史ある建物で、何度か修復を経て今に至るその建物は概観だけでなく内部もとても堂々としたつくり。

ここには博物館も併設されていて、作曲家の資料や大道具小道具、昔の衣装類なども展示されてる。ガイドさんつきの案内なので、もうちょっと英語がわかれば良かったんだけどなぁ。
19.そしてお別れ
三人で、ずいぶん歩いた。

ジャックさんも自分達につきあってくれる変な東洋人が不思議だったに違いない。聞いてみると二人の今までの旅行先はほとんどヨーロッパだったし、京都も「こんにちわ」も知らなかった。アジアなど未開の地だと思っていたとしても不思議じゃない。少しは印象改善になったかな?

あいかわらずタフなジャックさん夫妻も夕方になってだんだん疲れが出てきたようだ。近くのカフェで一休みした。二人のホテルはサンジュリアンというヴァレッタからはちょっと離れたリゾート地だったので、そろそろ戻る時間だった。写真を送る約束をして住所を交換した。フランスの南の方だと言った。知らない地名だった。

バス停まで見送りにいった。人を見送りしているとなんだか自分がここの人間になったかのような錯覚に陥る。サンジュリアンに行くバスは大変な混雑で、もともと本数も多いんだけど、最初のバスに乗れず次のバスを待った。最後に「一緒にサンジュリアンに来るか?」と言ってくれたのがちょっとうれしかった。でもそれはさすがにちょっと無理だ。堅い握手をしてバスは走り出していった。

今でも自分がどうしてあんなふうに行動したのかよくわからない。でもジャックさん夫婦が自分の両親にだぶってたってことだけは確かだ。その夜「親孝行してないなぁ」と思った。映画「東京物語」の大坂志郎のセリフが頭をよぎっていた。

日本でいう経済産業省の内部
花がきれい
ジャックさんに撮ってもらったけど白っぽい
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マルタ共和国の旅

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